日本茶は、長い間飲まれているものです。
実は、もともと日本にはなく禅宗のお坊さんが中国にあったお茶の実を日本に持ち帰り、植えて作ったものと言われています。
なぜ、お茶の実を日本に持ってきたかというと、お茶は坐禅をするときに眠くならないようにする薬だったからだそうです。
ですから、抹茶は薬のように、一服、二服といわれ、一杯、二杯とは数えません。
わたしたちが、現在飲んでいるお茶はもともと坐禅の間に飲んで、気分をリフレッシュするためのもの。
それを、一般の人も飲むようになったと言われています。
茶の起源
茶の起源は、中国の雲南省などのアジア南部の亜熱帯地域から、下図のように伝わったと考えられています。
世界主要産地の品種事情
お茶になるチャは大きく2種類
チャは平地だけでなく、標高2,000メートルの高地でも栽培ができ、インドやスリランカなど温暖で雨の多い地域を中心に栽培されています。
チャの木は大きく2種類に分けられ、紅茶向きのアッサミカ系(インド種)と緑茶向きのシネンシス系(中国種)です。
日本で栽培されている茶の木はシネンシス系、ダージリンを除くインドやスリランカで栽培されている紅茶用の品種はアッサミカ系に含まれます。
チャの品種が持つ特長のみならず、栽培地の気候が影響を及ぼし、各地でさまざまな味覚の茶が生産されています。
たとえば、インドやスリランカでは熱帯地方の直射日光を浴びて、紅茶の渋み成分であるタンニンが多く、良質な茶葉になります。
インド種(アッサミカ系)葉は大きく、表面が凹凸しています。葉先は細くとがっており、色は深い緑です。香りが高く、味も濃厚に出るので紅茶向きです。寒さに弱い品種です。タンニンの含有量が高く、紅茶やプーアール茶に利用されています。
中国種(シネンシス系)インド種と比べて葉は半分ほどの大きさです。先端は丸く、表面につやがあります。耐寒性があります。酸化酵素の働きも弱く、繊細な香りは、緑茶用として利用されます。
お茶は、茶の発祥の地、中国から伝来し日本でも飲まれるようになります。正史に残るものでは、平安時代の初期に編纂された歴史書『日本後紀』に弘仁6年(815年)、嵯峨(さが)天皇が行幸の途中で近江国(現在の滋賀県)のお寺に立ち寄り、そこで茶が献じられたと書かれています。
日本人、茶と出会う
最澄、空海も茶をたしなむ
栄西から明恵へ、茶種から茶園へ
京都市右京区栂尾(とがのお)
現在のお茶の品種
現在、日本で生産されているお茶の約8割を占める品種が「やぶきた」です。
お米のように品種で呼び名を変えると、ほとんどが「やぶきた」になってしまうので、お茶は「狭山茶」や「足柄茶」、「伊勢茶」といった産地で呼ばれることが多いそうです。
「やぶきた」という品種名の由来
昔、お茶の研究家の杉山彦三郎(1857~1941年)がさまざまな品種のお茶の品種改良に努めている中で、優良品種を見つけるため竹やぶを開墾して、やぶの北側とやぶの南側にお茶を植えました。
その結果、やぶの北側の茶樹からとてもいいお茶が育ったそうです。
やぶの北側で育ったことから、そのお茶の品種は「やぶきた」と命名され、いまや国内で一番普及するお茶の品種となりました。