【崩れる?】整形した人が年を取るとどうなるのか? 【不自然になる?】

幹弥先生、毎回とても分かりやすく、しかも深いご解説を配信してくださり本当にありがとうございます。誠実なお人柄が伝わる先生の動画に出会えて学びの幅が広がり、日々助けられております。今後も楽しみに拝見させていただきます😊
まず結論(動画の主旨)
- 「整形=歳をとると必ず崩れる」は誤解。術式・分量・体質・加齢変化の組み合わせで将来の見え方が変わる。適切に行われた手術は、その時点から自然に“一緒に歳をとる”イメージ。過剰・無理な施術や人工物の入れ方次第で不自然さが目立つことはある、という立場です。
「加齢で何が起きるの?」—土台の生物学
- 年齢とともに皮膚・脂肪・靭帯がやせ、皮膚が薄く弛む。一方で人工物(インプラントや糸)は形を保つため、相対的に“浮きやすい/角が立ちやすい”ことがある。だから若い時の“やり過ぎ”ほど、将来の違和感が出やすい。
施術タイプ別:5〜10年スパンの見え方と注意点
① 切る系(まぶた切開・眼瞼下垂・本格フェイスリフト等)
- きちんとデザインされていれば“崩れる”より“あなたと一緒に老化する”。ただし二重幅を広げすぎなど過剰デザインは後年の違和感・修正の原因に。修正は可能だが6か月以上空けるなど条件あり。
② 人工物を入れる系(鼻プロテーゼ・顎・豊胸インプラント)
- 組織が薄くなるとエッジが透けやすい。特に鼻の**“高くし過ぎ”は後年の不自然さの典型。豊胸インプラントは生涯デバイスではなく、10〜20年で入替え等の追加手術リスクが上がる(破損・被膜拘縮など)。一部テクスチャータイプではまれなリンパ腫(BIA-ALCL)も議論があり、定期フォローが前提。
③ 注入系(ヒアルロン酸フィラー・ボトックス・脂肪注入)
- 持続は有限。ボトックスは概ね3〜6か月、ヒアルロン酸は部位や製剤で6〜18か月程度が一般的(長期残存を示す報告もある)。メンテ費用と頻度を“サブスク”感覚で見積もるのが現実的。過充填はふくらみ・移動・不自然な輪郭のリスク。
④ 糸リフト(スレッド)
- 効果は概ね1〜2年(報告に幅)。皮膚の薄い部位や下顎周りはもちが短め。浅すぎ・深すぎ・左右差はえくぼ様の陥凹や違和感の原因に。
⑤ エネルギーデバイス(RF・超音波など)
- コラーゲン再構築で緩やかに引き締める“育てる系”。繰り返し前提で、手術級のリフト感とは別物と理解して選ぶ。※一般論(機器ごとに特性差)。
「ロシアンルーレット化」を避ける5つの実践知
- “今だけ良ければ”を避ける設計:将来の皮膚薄化を見越し、大改造より控えめを。
- 可逆性の確保:初回は溶解可能なヒアルロン酸や埋没法など“戻せる選択”を重視。
- 記録を残す:術前後の高品質写真と施術記録は、数年後の評価・修正に不可欠。
- ランニングコスト設計:注入系・糸系は維持費と頻度を事前に試算。
- デバイス・インプラントは定期点検:豊胸は長期で再手術確率上昇。症状がなくても定期チェック。
5〜10年後の現実的な《見え方マップ》
- 5年後:注入や糸は原状回帰〜わずかなベース改善が残る程度。過充填の名残(輪郭の“丸さ”)が気になる人も。
- 10年後:インプラントは経年イベント(破損・被膜拘縮など)の監視期。若年期の“やり過ぎ”はエッジの主張として現れやすい。切開系は自然老化の延長だが、当時のデザインの癖が目立つことあり。
動画の立場と整合するポイント(要約)
- 「正しい整形は“崩れる”のではなく、一緒に歳を重ねる」。ただし無理なデザインや人工物の入れ方は、後年の不自然さを招く—という説明。院内コラムでも同旨の見解が明記されています。
《まとめ》
整形は“魔法の固定”ではなく、あなたの顔の構造と一緒に歳をとる。
やり過ぎ・入れ過ぎ・選び過ぎが、5〜10年後の“ロシアンルーレット”を招く。
逆に、控えめ設計+可逆性+定期点検なら、未来の自分とも折り合える。
老化・たるみリスク比較(5年/10年視点)
凡例:リスク=その施術が加齢と一緒に起きやすい見え方の崩れ(過矯正・人工物の浮き・ボリューム消失など)。可逆性=元に戻しやすさ。頻度=維持や再施術の目安。
施術カテゴリ | 代表例 | 初期効果の持続目安 | 5年後の見え方/リスク | 10年後の見え方/リスク | 可逆性 | メンテ頻度の目安 | ひとこと要点 |
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上まぶた手術 | 埋没二重/切開(上眼瞼皮膚切除) | 埋没:年単位〜個人差/切開:長期 | 埋没は幅戻りの可能性、切開は“加齢なり”に変化 | 眉や額の下垂で再調整ニーズ出ることも | 埋没:高/切開:低 | 埋没は再固定も視野 | 過剰に幅を広げると将来の違和感。適正デザインが重要。 |
眼瞼下垂手術 | レヴァター前転など | 長期(機能改善も) | 良好維持が多い | 個人差だが長期安定報告 | 低 | 特になし | 視機能改善が主目的。過矯正・乾燥に注意。 |
下まぶた手術 | 経結膜脱脂/皮膚切除 | 長期 | 取り過ぎ→凹み・小じわ強調の懸念 | 皮膚薄化で質感差が出やすい | 低 | なし | 取り過ぎ厳禁。脂肪温存や脂肪移動が主流。 |
フェイスリフト | SMAS/ディーププレーン | 7〜10年目安 | リフト効果は持続、生活習慣で個人差 | 再手術検討タイミング | 低 | なし(再手術は10年前後で検討) | 皮膚だけ引く術式は短命、SMAS/深層処理が標準。 |
スレッドリフト | PDO/PLLAなどの糸 | 1〜2年(幅あり) | 効果薄れ/浅い留置で“えくぼ”様陥凹 | 複数回歴が多いと将来の手術層が硬くなる懸念 | 中 | 12〜24か月ごと | 短期リフト。回数を重ねる設計は慎重に。 |
注入:ヒアルロン酸(HA) | ほうれい線・頬・鼻等 | 6〜18か月(部位/製剤で差) | 過充填の名残り(丸い輪郭)や移動が話題に | 繰り返しで“作為的な形”が残ることも | 高(溶解可) | 6〜18か月 | 溶解可能。まずは少量・部位選びが安全。 |
注入:CaHA/PLLA等“コラーゲン刺激” | Radiesse®/Sculptra® | 12〜30か月 | 質感改善、結節(しこり)は稀に | 長期は瘢痕化で手術に影響の議論あり | 低(不可逆) | 12〜24か月 | 持続は長めだが不可逆。将来フェイスリフト予定なら要相談。 |
注入:PMMA(半永久) | ベラフィル等 | 半永久 | 遅発性肉芽腫などが少数ながら問題化 | 修正が難しい | 低(不可逆) | 基本不要(合併症時は治療) | 戻せない。慎重な適応が絶対条件。 |
脂肪注入(自家脂肪) | 顔全体のボリューム | 定着分は長期(半分前後吸収が目安) | 体重変動で変わる/左右差の調整が課題 | 再注入で仕上げることあり | 低(吸引除去など限定的) | 1回+微調整 | 平均定着率〜約47%など報告。自然だが読みにくい。 |
鼻:自家軟骨 | 肋軟骨・耳介軟骨 | 長期 | 反り(ワーピング)は低頻度 | 長期安定の報告も多数 | 低 | なし | 感染・変形は低率。採取部位の瘢痕は考慮。 |
鼻:人工物 | シリコン/E-PTFE等 | 長期(物性は持続) | 感染・露出・輪郭の角立ち | 皮膚が薄くなり“浮く”リスク | 中(抜去で線状変形残存も) | 異常時に対応 | 高すぎる鼻先は将来不自然の典型。 |
オトガイ(顎)インプラント | シリコン等 | 長期 | 骨吸収(エロージョン)の報告 | 稀に感覚変化・位置ずれ | 中(抜去可) | 異常時に対応 | 骨接触面の長期管理が大切。 |
バッカルファット除去 | 口腔内から頬脂肪除去 | 長期 | 若いほどシャープ化◎/加齢で“やせ感”強調も | 体質で“こけ”印象が出る人も | 低 | なし | 適応選びが全て。公的医療情報も“加齢で痩せ見えが増幅可”と注意喚起。 |
顔・首脂肪吸引 | サブメンタル等 | 長期(脂肪細胞は減る) | 皮膚弛み素地ある人は輪郭の段差 | 年齢とともに首筋(広頚筋)目立ち | 低 | なし | 皮膚の伸び・筋の癖を見極めると失敗減。 |
エネルギー機器 | HIFU/マイクロ波RF/MRF | 半年〜18か月(機器・設定差) | 穏やかな引き締め。繰り返し前提 | 大きなたるみは手術に劣る | ― | 6〜12か月ごと | “育てる系”。期待値コントロールがカギ。 |
ボトックス | 表情じわ抑制 | 3〜6か月 | 切れると元の動きに戻る | 同上 | 高 | 3〜6か月 | 可逆で試しやすい。打ち過ぎは表情硬化。 |
使い方のコツ(ロシアンルーレットを避ける3原則)
- 控えめ設計+可逆性:初回は溶解できるHAや埋没など“戻せる選択”から。将来の選択肢を残す。
- 人工物は“角が立つ”未来を想定:鼻・顎インプラントは皮膚が薄くなるほど浮きやすい。定期フォロー前提。
- 短期系は回数管理:糸・一部機器は回数を重ねるほど瘢痕化で、将来の手術層に影響し得る。履歴を必ず共有。
参考(根拠・目安に使った一次情報)
- ボトックスの持続:3〜6か月の一般的目安(ASPS)。
- ヒアルロン酸フィラーの持続:6〜18か月(製剤・部位で差)。
- CaHA/PLLAなどの長期性と不可逆性の注意:総説・レビュー。
- PMMAの遅発性肉芽腫など合併症報告。
- フェイスリフトの持続:概ね約10年(文献と臨床解説)。
- 糸リフトの効果持続:〜1–2年(材料別レビュー、臨床研究)。
- 脂肪注入の平均定着率:約47%のメタ解析(3〜24か月)。
- 鼻の素材別リスク:人工物の感染・露出、自家軟骨のワーピングは低頻度だが留意。
- 顎インプラントの骨吸収など長期所見。
- バッカルファット除去:加齢で痩せ見えが増幅し得る(JH公式解説)。
- HIFU/RFなど機器の効果は1年前後〜18か月が目安(系統レビュー等)。