むくみができるメカニズム
「むくみ」は血流の低下によって引き起こされます。
私たちの体に必要な酸素や栄養は、血液によって体の隅々にまで届けられます。そして届け終わった後は、細胞から作られた二酸化炭素や老廃物を受け取って、心臓に戻ってきます。
この時、筋肉が動くことで血流を促し心臓に血液が戻されますが、動かないと血流が悪くなってむくみになります。
デスクワークの多い人が、夕方になると脚がパンパンになるのは、下肢の筋肉を動かさなかったために、足の血流が低下してしまうからです。
足は心臓からもっとも遠くにあるため、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たして、血液とともに水分を心臓に送ったり、全身に巡らせています。ふくらはぎの筋肉を使わずに『ずっと動かずにいる』と、重力の影響で水分が下半身にたまってしまい、足がむくむのです。
むくみの原因
一過性のむくみの原因
ずっと同じ姿勢で過ごしている
立ち仕事やデスクワークなど同じ姿勢で過ごすことが多いと、血液を心臓に戻すふくらはぎのポンプ作用が弱くなり、血流が下半身に滞りがちに。さらに同じ姿勢でいることで、足の筋肉がこわばって伸縮しにくくなってしまいます。
夕方になると足がむくむのは、1日中血液が下半身にどんどんたまってしまったのが原因です。
一過性むくみの原因
むくみが起こる主な原因でも、塩分の摂り過ぎ、アルコール、生理によるホルモンの変化、睡眠・運動不足、ストレスなどの影響によるむくみは、一過性のもの。
塩分やアルコールの摂取を控えたり、ゆっくり休んだり、ストレッチをして筋肉を伸ばすことで、改善されます。軽いものでは、夕方むくんでいても、寝て起きれば翌朝スッキリしていることも多いです。
慢性むくみの原因
心臓に障害がある
慢性的なむくみが起こる原因として、心臓、腎臓、肝臓といった大きな臓器の疾患が疑われます。
これらは一過性のむくみと違い、数日では治らない慢性的なむくみで、むくんでいる部位を押すと指の後がつくのが特徴です。
この場合、大きな病気が隠れている可能性がありますので、かかりつけの医師にできるだけ早く相談しましょう。
そのほかにも、食事の偏りによる栄養失調、ふくらはぎの血管が膨らんで足がむくむ下肢静脈瘤、手術でリンパを取り除いたことで起こるリンパ浮腫などもあります。
むくみは病気のサイン?
むくみが表す病気の症状は?
むくみが、病気のサインとして体にあらわれる場合もあります。まず、むくみがひどい時に疑われるのが「腎臓」や「心臓」「肝臓」の病気。
押すと指の跡がつくのが特徴で、全身がむくみます。
腎機能障害:腎臓病、腎不全
腎臓は体のデトックス機能を担っており、血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出します。腎機能が低下すると、体外に老廃物を含んだ水分を排出できなくなるため、むくみが起こります。
心不全
心臓が血液をうまくめぐらせることができなくなる病気で、体の血流が滞りむくみになります。
肝硬変
肝臓全体が硬くなるため、肝臓でアルブミン等のタンパク質が合成できなくなります。アルブミンは、水分を血管内に保持する働きがあるため、血液中のアルブミンが低下すると、水分が血管から間質に漏れ出し、全身のむくみが起こります。
その他のむくみの原因には、以下のようなものがあります。
栄養失調
栄養素の摂取量が不足してタンパク質が不足すると、血液中にアルブミンが不足し、全身のむくみの原因になります。
下肢静脈瘤
女性に多い病気で、ふくらはぎの部分の血管が膨らみ、足がむくみます。ひどい場合には表面にボコボコと静脈が浮き出てきます。病名の通り、下半身の静脈の血管がコブのように膨らみます。
リンパ浮腫
手術でリンパ節を取り除いたりしたことで、リンパの流れが滞り、その部分に水分が流れずにむくみます。