汗が「天然の美容液」といわれる理由
汗というと、汚くて、ニオイや汗じみも気になるため、女性の天敵のように思えます。でも、実は汗はスキンケアの味方になることもあるのです。
皮膚科医で、しのぶ皮膚科院長の蘇原しのぶ先生によると、汗にはもともと悪い成分は含まれていないのだそうです。
蘇原しのぶ先生(以下、蘇原)「汗の成分は99%が水で、残り1%は塩分などです。
汗がにおうのは、汗そのもののニオイではなく、皮膚の皮脂やホコリなどの汚れを皮膚にいる『皮膚常在菌』が食べて分解することで作り出すニオイなのです。
通常、エクリン腺という汗腺から出る汗は無臭です」
・水 99%
・塩分など 1%
そして、汗には保湿効果もあるといいます。
蘇原「汗は体温調節のためにかくものですが、皮膚に水分を補給し、肌にうるおいを与える働きもあります。
また、一度汗をかくとまたその汗が皮膚に吸収され、保湿されます。
『皮脂』という皮膚表面にある脂がほどよくあれば、『皮脂膜』という肌を保護する薄い膜がで形成されて、肌を乾燥から守る働きをしてくれます」
汗が「天然の美容液」といわれるのは、このことが理由だったようですね。
保湿効果があると知れば、どんどん汗をかきたくなってきます。
でもしのぶ先生によると、汗は普段からかき慣れていないと、悪い汗が出るのだそうです。
蘇原「日頃から汗をかく習慣がないと、ニオイやベタつきのある悪い汗が出やすくなります。
汗腺がなまっているとしっかり働かず、塩分などのミネラル分を多く含む悪い汗になりやすくなるためです。
そうした汗は皮膚常在菌のエサになる成分が多いため、菌が繁殖しやすくなり、ニオイも出やすくなるのです」
汗は天然の美容液とはいえ、におっていては安心していられませんよね。どうすれば良い汗をかけるのでしょうか?
蘇原「良い汗をかくには、普段から汗をかくべきときにしっかりかく習慣を持つこと。汗をかくのを嫌がって、冷房の中でじっとしている時間が長く、体を動かさない毎日では汗腺はどんどんなまってしまいます。
運動する時間がない場合には、半身浴で汗腺トレーニングをするといいでしょう。夏場は汗をかきやすいため、汗腺トレーニングのチャンスでもあります。
発汗することにより身体から外に出す毒素には
○ヒ素
○鉛
○水銀
○カドミウム
○ビスフェノールA
○フタル酸エステル
などがあります。
よく、環境により体内に流入するヒ素、鉛、水銀、カドミウムなどの重金属を排泄するのは難しいと言われています。
重金属のほとんどは、便から排出され、汗からの排出の割合はわずかですが、日々発汗することで蓄積を予防できるのではないでしょうか。
身体や内臓を冷やさないことも、発汗を促すことになりそうです。
できるだけ冷房は控えめに
ニオイが気になる方もいるかもしれませんが、汗をかいたらすぐにふく、衣類を取り替えるなどして皮膚の上に長時間汗をとどまらせないことで防ぐことができます」
夏は比較的、汗をかきやすい季節! 冷房の中にばかりいないで、たまには汗腺を鍛えて汗を思いっきりかき、良い汗で肌の保湿をねらいましょう!