アーユルヴェーダの意味
アーユルヴェーダとは、「生命の科学・Science of Life」という意味を持ちます。
病気を見る西洋医学に対し、アーユルヴェーダは個を見る医療と呼ばれています。
病気になってしまってから、それを治すことより、病気になりにくい心身を作ること、病気を予防し、健康を維持するという「予防医学」の考え方に立っています。
季節による1日の過ごし方、食べ物、運動、人との関係など、生き方そのものを教えてくれる哲学でもあり、ヨガ、占星術なども含まれます。
世界最古の医療システムであり、病気の治療や治癒だけでなく、生活全体にアプローチすることで健康の最高の状態に保ち、長寿を図ろうとする考え方で、何よりも『より良く生きる』ということを目的としています。
現代においてアーユルヴェーダは、西洋医学の代替手段として世界保険機構(WHO)からの認定を受け、予防医学として大変注目されています。
例えば人が病気になったとき、単に投薬や手術などの対症療法で治療するのではなく、「生き方」そのものを見つめ直すことで、病気のもとを断つという考え方、ここでいう「生き方」とは、食事・運動、睡眠などの生活習慣全般と、人間関係や考え方などの精神面も含まれます。
アーユルヴェーダの目的
病人の病気の治療と、健康な人の健康の増進、の2つがあります。
・治療法(病院でドクターが行う治療として8つの科があります)
・健康法(家庭で出来る予防・治療法)
日常生活の中で、食事や睡眠などを各個人にあった方法で行うことにより、 病気を予防して行く方法を古典で教えています。
健康とは、ドーシャのバランスが取れ、 正しい食欲があり、排泄が正常で、組織が適切に機能し、意識と心と五感が至福に溢れている状態。
アーユルヴェーダの歴史
インドにおいては、アーユルヴェーダは5000年以上昔から、特別なものではなく、日々の生活の一部として根づいています。
医療としてももちろんですが、人が生命を受けて誕生した時から年老いて死ぬまでの人生において、どのようにすれば心身共に幸せに健康に暮らしていけるのかを教えてくれるアーユルヴェーダは、 日常生活における食事や睡眠・体調管理などの様々な場面で生きています。
アーユルヴェーダの発祥の地とされるインドで、5000年以上も昔から、人間の身体について研究が行われ、健康に良い食材の性質、時間や環境・季節などから、食事療法や、莫大な薬草学について説かれています。
アーユルヴェーダの薬草オイルについて
アロマオイルとアーユルヴェーダ薬草オイルの違い
アロママッサージ: オイル自体には効果がなく、香りによってリラックスすることから筋肉がゆるむ。
薬草オイルマッサージ: オイルを塗るだけで効果がある。ホットパックで温めながらオイルを身体に入れ込むことで、患部に効果を出すことができる。
中医学の漢方では、薬草を飲んで効かせているが、効果が出るまで数日から数週間かかることもあり、また効果が出ないこともあります。
アーユルヴェーダでは、発祥の地であるインドにて、薬草オイルを患部に直接入れることが発明されました。
こうすることにより、患部に薬効成分を直接効かせることができるのです。
ドーシャとは
ドーシャについて
アーユルヴェーダでは、ドーシャという概念はとても重要です。
アーユルヴェーダでは、人の体には「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」と呼ばれる3つの生命エネルギーがあるとされています。この3つのエネルギーをドーシャと呼びます。
「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」はそれぞれ、アーユルヴェーダの基本的概念である五大元素(空、風、火、水、地)が組み合わさった性質を持っています。 「ヴァータ」は、「空」と「風」から成り立ち、風気質、
「ピッタ」は、「火」と「水」から成り立ち、火気質、
「カパ」は、「水」と「地」から成り立ち、水気質とも言われています。
ドーシャチェックの大切さの説明。アーユルヴェーダ体質診断
人の体質は、「ヴァータ」と「ピッタ」と「カパ」のバランスで決まります。
この3つのエネルギーによって、生命を維持しています。百人いれば百通り。どのエネルギーをどのくらいもっているか。
このエネルギーのバランスの違いによって、体質(プラクリティ)が決定します。
これは生まれ持った体質であり、一生涯変わらない自分の体質です。
そして、住んでいる環境や、ライフスタイルの影響で「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」のバランスは常に変化していきます。お天気と一緒です!
この、本来の体質(プラクリティ)から変化した体質をヴィクリティと言います。
生活していると、さまざまな影響でドーシャが変化します。
ドーシャチェックで、プラクリティとヴィクリティのドーシャバランスを比較し、どのドーシャが悪化しているかを調べます。
毎日の食事の内容、睡眠、仕事の忙しさ、環境の変化など、あらゆる根本的な要因を知ることで、
本来の自分の体質(プラクリティ)に戻すために、どのような対処が必要かわかります。
それぞれのドーシャについて
体の中を駆け巡っているエネルギーは、様々な要因で流れが悪くなります。それによってそのエネルギーが蓄積し、様々な症状を起こします。
・ヴァータのエネルギーが悪化すると
冷え、皮膚や髪の乾燥、便秘、肩こり、腰痛、不安、不眠、疲労感、落ち着きがない、気分が変わりやすい、など
・ピッタのエネルギーが悪化すると
汗かき、のぼせ、皮膚の炎症(湿疹・ニキビ)、胸焼け、下痢、イライラ、怒りっぽい、批判的、 など
・カパのエネルギーが悪化すると
冷え、肥満、むくみ、肌のくすみ、鼻〜気管支の症状(鼻水・鼻づまり・咳・たん など)、だるさ、眠気、思考が鈍る、など
ドーシャ | ヴァータ(vata) | ピッタ(pitta) | カパ(kapha) |
ドーシャの性質 | 風の性質冷、乾、軽、動の性質を持つ運動のエネルギー | 火の性質温、油、軽、鋭の性質を持つ物質を燃焼させるエネルギー | 水の性質冷、油、重、安定の性質を持つ物質を融合・安定させるエネルギー |
そのドーシャが多い人の特徴 | 好奇心旺盛スリムな体型、背は低いか高いか体力はすくなめ気持ちが変わりやすい長い睡眠時間が必要 | 情熱的で知的お腹がすくと機嫌悪くなるイライラしやすい決断力があり論理的均整のとれたプロポーション | 穏やかで献身的体力があり一食ぬいても平気物覚えは遅いが一度覚えると忘れない話し方や動作はゆっくりグラマータイプ |
体の中の役割 | 運搬 食べ物、酸素、排泄物などを運ぶ伝達 神経系の情報伝達循環 血液、リンパ液などの循環 | 消化 食べ物や情報の消化(心の消化力)代謝 新陳代謝、転換、変換変換 栄養素をエネルギーに変換する | 形成 身体の構造を継続する融合 組織同士をくっつける潤滑 皮膚や関節を滑らかに保つ |
そのエネルギーが悪化すると | 冷え皮膚の乾燥便秘肩こり腰痛不安不眠疲労感落ち着きがない気分が変わりやすい | 汗かきのぼせ皮膚の炎症(湿疹、ニキビ)胸焼け下痢イライラ怒りっぽい批判的 | 冷え肥満むくみ肌のくすみ鼻〜気管支の症状(鼻水、鼻づまり、咳、たん、など)だるさ眠気思考が鈍る |
悪化させる原因 | 身体を冷やすこと不規則な生活夜更かし睡眠不足タバコアルコール乾燥食品冷凍食品生野菜生もの苦味・辛味・渋味の食べ物 | サウナ炎天下真昼の運動考えすぎ怒り憎しみ食事を抜くことアルコール揚げ物酸味・辛味・塩味の食べ物 | 身体を冷やすこと食べすぎ水分の取りすぎ寝すぎ食後の昼寝運動不足乳製品油っぽい食べ物甘味・酸味・塩味の食べ物 |
バランスさせる方法 | 入浴規則的な生活オイルマッサージ発汗療法甘味・酸味・塩味の温かい食べ物 | 森林浴や海辺の散歩オイルマッサージサンダルウッド・ローズのアロマ甘味・苦味・渋味の食べ物 | 運動ドライマッサージ発汗療法早起き辛味・苦味・渋みの食べ物 |
アーユルヴェーダでは、消化、代謝力は健康の要と言われています。
消化力はアグニと呼ばれています。
アグニが正常に働いていることは大切なことです。
◉ アグニが正常に機能しているかの判断基準
・適度な食欲や消化力があり、栄養素を吸収できる
・体内に未消化物が蓄積していない
・消化不良、冷え性、便秘がない
・大小の排泄が正常
・発汗できる
・目の白目のよどみがない
・血色がよく、健康的な髪
・舌が白い膜や苔に覆われていない
・睡眠がとれて、回復できる
・活力があり、柔軟な身体
アグニが正常に機能していないことは、体内に未消化物が蓄積しやすいことにもなります。